辺境民族的な伝統形式に沿って作られたと思しき手作りの強木アーチェリー。
軽量で引き易い割に結構な強弓の様でしなりの応力も未だに強靭柔軟、材の 結構な年月を経たと思われ少しの毛羽立ちありますが、それでも尚弓体の堅牢さや周囲に巻かれた蔓編みが良く保たれております。
この手のお品では珍しく、布紐巻きの凝った弦が残存しており引きの調子も未だに良好健在でこれも希少性が。

両端に被せる飾り鞘も年月故の小傷解れや型の付き具合僅かに散見されますが、目につくほどの損傷は少ない様子。
図案に沿った金属細工やビーズによる装飾が煌びやか、真紅の綿布で誂えた下地に眩く映えて大変工芸的な風采。
このような形式の付属がある弓というのも珍しい印象で独特の文化観を垣間見ることができます。

ある意味最大の目玉といってもいい矢筒と矢の揃えは年月の様相を感じさせるもののこちらも大きな破損少なく良く保たれている様子。
手紐は蔦巻が途中で途絶えて紐の上部が付け根と固定できていない様ですが強度は今でも中々良く保たれて強靭そう。
質感がかなり固めかつ黒塗り感色濃く、どうも伸ばした人毛を繋げて誂えたものではないかと思われます。
表面に描かれた特徴的な図案も呪術的な風采を醸し、南方の野性的な情緒が詰め込まれた異様な佇まい。
内部に込められた矢は全１２本、簡素な鉄を丸めた鏃ながら、尾羽に鳥の実羽を巻き付けた本格造りの民族矢！
プリミティヴながら手の込められた実用的な造りが往時の人々の野性の息遣いを感じさせます！

始原的な要素を色濃く伝える見事な民族造りの貴重資料！
他にも色々と出品しておりますのでご興味あらば是非！
（2021年 12月 7日 6時 28分 追加）サイズ追記：弓は全長146cmほどあり、矢筒は74cm長で太さ6.6ｃｍ・矢も60cm以上はあります。
分類としては短弓寄りでしょうか、矢筒はかみ合わせが巧妙で蔓巻きに合わせると蓋もピッタリ！
実用性を伴う趣向も強い丹念な造りの古強者！